エアコンプレッサーのダクト設計の重要性と最適化のポイント
工場のエアコンプレッサー設備において、意外と見落とされがちなのが「ダクト設計」です。
コンプレッサー本体の性能や省エネ対策ばかり注目されがちですが、実はダクトの設計次第で効率・寿命・安全性が大きく変わることをご存じでしょうか。
この記事ではエアコンプレッサーにおけるダクトの重要性について解説します。
なぜコンプレッサーにダクトが必要なのか
エアコンプレッサーは圧縮時に大量の熱を発生させます。
特に容量が大きくなる程、電動機の発熱と合わせて周囲の温度を上昇させやすく、換気不足による温度上昇は故障や性能低下の原因になります。
そのため、吸気ダクトと排気ダクトを適切に設けて温度バランスを保つことが必要です。
※暑さによるエアコンプレッサー異常についての記事はこちら

ダクト設計の基本ポイント
- 吸気経路の確保
吸気側は清浄で温度の低い外気を取り込むことが理想です。吸気口の位置が悪いと、再循環した温排気を吸い込み、効率が落ちてしまいます。 - 排気ダクトの風量と圧力損失
排気ダクトは、風量不足や曲げ過多による抵抗で排気が滞ると、庫内温度が急上昇します。曲がりはできる限り少なく、断面積も十分に確保することが大切です。 - 夏季・冬季の切り替え対応
冬場はコンプレッサーの排熱を工場暖房や温水ボイラーの予熱として活用するケースもあります。ダンパーや切替えフラップを組み合わせることで、季節に応じた熱利用が可能になります。 - 騒音対策とメンテナンス性ダクトには吸音材を組み込んだり、点検口を設けることで、騒音低減と清掃性を両立できます。ホコリや油分が付着すると風量が落ちるため、定期的な点検・清掃も忘れずに。

よくあるトラブル事例
ダクトにおけるトラブル事例
- 吸排気口の配置ミスにより、温排気を再吸引して庫内温度が上昇
- ダクト内にゴミやフィルター詰まりが発生し、警報停止
- ダクトが屋外にあり、雨水の侵入で機内汚染
※鳥が侵入して、起動した際にファンが壊れたという事例もあります。
ダクトの出口に網の無いものは対策を検討して下さい。 - 無理な延長・曲げ加工で風量不足によりオーバーヒート

これらは、設計段階での配慮不足で起こるケースが多く、対策をすれば未然に防げます。
まとめ:ダクトも「設備の一部」として最適化を
エアコンプレッサーの性能を最大限に引き出すには、本体だけでなく吸排気ダクトも一体で考えることが重要です。
適切なダクト設計は、冷却効率を高め、故障リスクを減らし、省エネにもつながります。
「最近コンプレッサールームが暑い」「警報が頻発する」という場合、ダクトの見直しが必要なサインかもしれません。
設備環境の改善をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。

