スクリューコンプレッサーの吸気から吐き出しまで順序建てで徹底解説!

スクリューコンプレッサー(ねじ式圧縮機)は、工場や製造現場で広く使われている圧縮機の一種です。

その特徴は「連続的に安定した圧縮空気を供給できること」

今回は、吸気された空気がどのようにして圧縮され、最終的に設備やツールへ供給されるのかを、各構成部品の役割とともに順を追って解説します。

コンプレッサーの種類と特徴に関する記事はこちら

①【吸気部】外気の取り込み、ろ過(エアフィルター)

すべての始まりである「吸気部」

ここでスクリューコンプレッサーは外気を取り込みます

吸入口にはエアフィルターが設置されており、空気中のゴミ・ホコリ・粉塵などの異物を除去します。

フィルターが詰まると吸気効率が落ち、圧縮能力の低下やモーターへの負荷増加、故障の原因になります。

定期的な清掃・交換が必須です。

エアコンプレッサーの仕組み

②【圧縮部】ローターで空気を圧縮(スクリュー機構)

吸気された空気は、スクリュー式の圧縮機構(ローター)へと送られます。

2本のねじ状のローターが高速回転し、空気を噛み込んで徐々に容積を小さくしながら圧縮していきます。

スクリュー式はレシプロ式に比べて振動が少なく静音性が高いのが特徴。

また、連続運転にも向いており、省エネ性にも優れています。

エアコンプレッサーの仕組み

③【オイル系統】潤滑・冷却・密閉を担う循環ライン

圧縮中には高温・高圧の状態になります。ここで重要なのがオイルの役割です。

スクリューコンプレッサーの多くはオイル潤滑式で、以下の3つの目的で専用オイルが循環します。

  • 摩耗を防ぐ「潤滑」
  • 圧縮時の熱を取る「冷却」
  • 空気の漏れを防ぐ「密閉」


オイルはオイルセパレーター(分離器)を通して空気と分離され、再利用される為、定期的なオイル交換とフィルター交換が必要です。

※コンプレッサーオイルに関する記事はこちら

エアコンプレッサーの仕組み

④【冷却装置】高温になった空気とオイルを冷やす

圧縮された空気とオイルは高温状態です。

そのため、オイルクーラー冷却ファンで温度を下げます。

特に連続運転が多い現場では、冷却能力がコンプレッサーの寿命を左右すると言っても過言ではありません。

トラブル事例
冷却不良によりオーバーヒート → 非常停止やオイルの劣化、最悪の場合は焼き付き事故に発展。

※オイルクーラーに関する記事はこちら

エアコンプレッサーの仕組み

⑤【制御部】自動運転と保護機能(圧力スイッチ・インバーター)

コンプレッサーには設定された圧力でON/OFF制御する圧力スイッチや、モーターの回転数を調整するインバーター制御装置が搭載されています。

  • 必要な時にだけ動く「自動運転」→インバーター機
  • 圧力が高くなりすぎた場合の「安全停止」→圧力スイッチ
  • 電流過多や高温時の「異常検知」→サーマル、温度センサー

省エネポイント
インバーター制御なら、必要な圧縮空気量に応じて回転数を柔軟に調整でき、電力消費を大幅に削減できます。

※インバーター機に関する記事はこちら

エアコンプレッサーの仕組み

⑥【吐出部】圧縮空気をユーザー側へ供給(チェックバルブ~配管)

最終工程では、圧縮された空気がチェックバルブ(逆止弁)を通って吐出されます。

ここからは配管を通じて、各種エアツール・機械装置へと供給されます。

逆止弁の役割
コンプレッサー停止時のエアーの逆流を防止し、圧縮部やモーターを保護します。

※逆止弁に関する記事はこちら
※調圧逆止弁に関する記事はこちら

ドライヤを経由する場合
エアーがドライヤを経由する場合は供給前の圧縮空気を冷やすことで、空気中の水分を分離させ、ユーザー側に供給します。
分離された水はオートドレンから排出されます。

※ドライヤに関する記事はこちら

エアコンプレッサーの仕組み

まとめ:空気の流れを知れば、トラブルが防げる

スクリューコンプレッサーの構造と空気の流れを理解することで、複雑に見える機械内部の状態も分かりやすく見えてくると思います。

それによって少しの異常にも気付けるようになれば幸いです。

現場を支えるコンプレッサーだからこそ、構造を理解し、安定稼働を実現していきましょう

各部位の点検方法を知りたい、もっと細かい部位の働きを知りたい等、気になることがありましたら是非お問い合わせください。

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