災害に見舞われた際のコンプレッサーの運用方法
地震・停電・浸水・火災などの災害は、工場や整備工場におけるエアコンプレッサーの運用に大きな影響を与えます。
誤った対応をすると、機械の故障・二次被害・復旧の遅れにつながりかねません。
※災害時は人命を最優先にしたうえで、機械への二次被害を防ぐ参考になればと思います。
地震発生時の対応
運転中の注意点
- 緊急停止ボタン で速やかに停止
- コンプレッサーの転倒や配管破損に注意
- 漏れた圧縮空気による二次事故(ホースの暴発など)を防ぐため主電源を切り、タンクの圧力を安全に抜く
事前の備え
- コンプレッサーを アンカーボルトで床に固定
- 配管のフレキシブル化で振動による破損を防止
- 緊急停止手順を現場に掲示し、作業者に教育する
※地震への対策依頼や詳しい内容を知りたい方はこちらからお問い合わせ下さい。

停電時の対応
発生時の行動
- 電源が復旧するまでは 再起動禁止(誤作動や過電流のリスク)
- 停電直前に運転していた場合、再送電後に自動起動する機種があるため、必ず確認する
事前の備え
- 無停電電源装置(UPS)を制御系統に導入
- 工場のBCPに合わせて 非常用発電機と連動させる
- 復電後は、オイル・潤滑系・冷却系を点検してから運転を再開する

浸水・豪雨時の対応
発生時の行動
- 水害の恐れがある場合、コンプレッサーの高所移設や停止を優先
- 浸水後に濡れたコンプレッサーを通電すると、絶縁不良や焼損の危険があるため使用禁止
事前の備え
- 低地や地下に設置しない
- 排水設備や防水対策を整備
- 万一浸水した場合は、メーカーや専門業者に絶縁点検を依頼する

火災・煙被害時の対応
- コンプレッサーを運転したままでは火勢拡大の危険あり
- 必ず停止し、消火活動を優先
- 煙や煤を吸い込んだ場合、フィルターや配管が汚染されるため
フィルター交換・オイル交換を実施

災害後の点検・復旧手順
災害が収まった後、すぐに稼働させるのは危険です。
点検すべき主な項目は以下のとおり
- 電源系統(配線・絶縁抵抗)
- 配管やバルブの破損・エア漏れ
- タンクの圧力計・安全弁の作動確認
- 冷却装置やオイルの汚染有無
- 振動や異音の有無
安全確認 → 試運転 → 本稼働 の順で復旧しましょう。

事前に取り組むべきBCP対策
- 設置場所の見直し(高所・耐震補強)
- 予備機やバックアップ用小型コンプレッサーの準備
- マニュアル作成と社員教育
- 定期点検と防災訓練
まとめ
災害時におけるコンプレッサー運用の基本は
- すぐに停止・安全確保
- 復旧前に点検を徹底
- 事前のBCP対策が命運を分ける
という3点に集約されます。
エアコンプレッサーは工場稼働の心臓部です。
災害時に備えた運用ルールを整備することで、設備被害を最小限にし、早期復旧と事業継続につなげることができます。
職場のコンプレッサーは安全対策が十分か等、気になることがありましたら是非お問い合わせください。

