コンプレッサーの圧が上がらない原因とは?圧力低下の典型トラブルと確認ポイントを解説

工場や整備現場で使用されるエアコンプレッサーにおいて、「なかなか設定圧力まで上がらない」「運転し続けているのに圧力が低いまま」といった症状は、非常に多いトラブルのひとつです。
コンプレッサーの圧力が上がらない状態を放置すると、設備停止やエア工具の能力低下だけでなく、電力ロスや本体故障の原因にもつながります。
この記事では、コンプレッサーの圧が上がらない主な原因と、その確認方法・対策について、分かりやすく解説します。
目次
そもそも「圧が上がらない」とはどういう状態か?
コンプレッサーには通常、「設定圧力」があります。
例えば0.8MPa設定であれば、運転によってタンクや配管内の圧力が0.8MPaまで上昇し、その後アンロードや停止制御へ移行します。
しかし異常時には、
- 0.5MPa付近から上がらない
- 運転し続けるが満圧にならない
- 一定以上で圧力が頭打ちになる
- 使用すると急激に圧力低下する
といった症状が発生します。
この状態には、「空気が作れていない場合」と「作った空気が逃げている場合」の2パターンがあります。

原因① エア漏れ
最も多い原因が、配管や設備からのエア漏れです。
コンプレッサーが一生懸命空気を作っても、使用量以上に漏れていれば圧力は上がりません。
よくある漏れ箇所
- 配管継手
- ワンタッチカプラ
- エアホース
- ドレン配管
- オートドレン
- 電磁弁
- シリンダー
- 使用していない設備
確認方法
- 工場停止中でもコンプレッサーが頻繁に起動する
- 夜間に圧力が下がる
- 石鹸水で泡確認する
- 超音波リークテスターを使用する
特に古い工場では、常時「シュー」という漏れ音が発生しているケースも珍しくありません。
小さな漏れでも、24時間積み重なると非常に大きなロスになります。
原因② 使用空気量がコンプレッサー能力を超えている
設備増設後によく発生するのがこのケースです。
必要空気量の増加例
- エアブロー増設
- 新規設備追加
- エアシリンダー増加
- 不適切な連続ブロー
必要空気量が増加すると、コンプレッサー能力が追いつかなくなります。
この場合、故障ではなく「供給不足」です。
典型症状
- 昼間だけ圧力低下する
- 生産稼働時のみ圧が下がる
- 休憩時間は圧が戻る
- 複数設備同時使用時に発生する
対策
- エア使用量測定
- 不要ブロー削減
- 配管見直し
- インバータ機導入
- コンプレッサー増設

原因③ 吸気フィルターの詰まり
意外と見落とされるのが吸気フィルターです。
コンプレッサーは大量の空気を吸い込んで圧縮します。
しかし吸気フィルターが詰まると、十分な空気を吸えなくなり、圧縮量そのものが低下します。

フィルターが詰まりやすい環境
- 粉塵環境
- 木工工場
- 切削工場
- 屋外設置
典型症状
- 運転音が重い
- 温度上昇
- 電流値変化
- 圧力上昇が遅い
対策
- フィルター清掃
- 定期交換
- 吸気環境改善
原因④ ベルトの滑り(レシプロ・ベルト駆動機)
ベルト駆動式コンプレッサーでは、Vベルトの滑りによって回転数不足が起きることがあります。
ベルトが摩耗・緩みしていると、モーターだけ回って圧縮機本体が十分回転しません。

よくある症状
- キュルキュル音
- 焼けたゴム臭
- ベルト粉発生
- 回転数不足
対策
- 張り調整
- ベルト交換
- プーリー点検
原因⑤ 吸排気バルブ不良(レシプロ)
レシプロコンプレッサーでは、吸気弁・吐出弁の不良によって圧縮できなくなることがあります。
バルブが摩耗・破損すると、圧縮した空気が逆流してしまい、圧力が上がりません。
レシプロ機では比較的多い故障です。

症状
- 異音
- 吐出温度上昇
- 圧縮不足
- 圧力上昇が極端に遅い
原因
- カーボン噛み
- 金属疲労
- バルブ割れ
- 長期使用
原因⑥ スクリューエレメント摩耗(スクリュー機)
スクリューコンプレッサーでは、内部のスクリューエレメント摩耗によって圧縮効率が低下します。
長年使用した機械では、内部クリアランスが広がり、空気漏れが内部発生します。
典型症状
- 満圧まで異常に時間がかかる
- 電流が上がらない
- 吐出量低下
- オイル消費増加
特徴
これは徐々に進行するため、使用者が気付きにくいトラブルです。
「昔より圧が弱い気がする」という感覚から発見されることもあります。

原因⑦ 最低圧力弁・アンロード弁不良
スクリューコンプレッサー特有のトラブルとして、最低圧力弁やアンロード制御弁の異常があります。
これらが正常動作しないと、空気がうまく加圧されず、圧力が上がりません。
症状
- 起動直後から圧が上がらない
- エアが逆流する
- アンロード状態から戻らない
- 常時放気している
制御系トラブルは見た目では判断しづらいため、専門点検が必要なケースもあります。

原因⑧ ドレン詰まり・ドレン噛み
ドレン処理系の異常も圧力低下原因になります。
特に、
- オートドレン故障
- ドレン詰まり
- ドレン弁開きっぱなし
などがあると、常時エア漏れ状態になります。
また、ドレンが内部へ回り込むことで弁類動作不良を起こす場合もあります。
原因⑨ モーター・インバータ異常
モーター回転不足でも圧力は上がりません。
例
- 欠相
- 電圧低下
- インバータ故障
- 接触器異常
- 軸受損傷
などです。
特にインバータ機では、周波数制御異常により回転数不足が起きる場合があります。

圧が上がらない時にまず確認すべきこと
トラブル時には、以下を順番に確認すると原因を絞りやすくなります。
① エア漏れ音確認
まずは工場内の漏れ音確認です。
最も発生頻度が高く、改善効果も大きい項目です。
② 使用量変化確認
最近設備を追加していないか確認します。
生産増強後に起きるケースは非常に多いです。
③ フィルター確認
吸気フィルターやラインフィルターが詰まっていないか確認します。
④ ドレン確認
オートドレンから常時エアが漏れていないか確認します。
⑤ コンプレッサー単体能力確認
配管を切り離し、単体で満圧まで上がるか確認します。
ここで上がれば工場側問題、上がらなければ本体側問題の可能性が高くなります。
圧力低下を放置するとどうなる?
圧が上がらない状態を放置すると、以下のような問題につながります。
- 電気代増加
- コンプレッサー連続運転
- モーター過熱
- オイル劣化加速
- 生産停止
- 製品品質低下
- 故障拡大
特に「常時フルロード運転」は機械寿命を大きく縮めます。
小さな異常でも早期対応が重要です。
まとめ
コンプレッサーの圧が上がらない原因は、単純なエア漏れから内部摩耗、制御異常まで多岐にわたります。
特に多いのは、
- エア漏れ
- 使用量増加
- フィルター詰まり
- ドレン不良
といった周辺要因です。
一方で、長期使用機では内部摩耗や制御弁異常も増えてきます。
「最近圧力の上がりが遅い」「運転時間が長くなった」と感じたら、是非お問い合わせ下さい。


